hikarimetal’s blog

基本的に自分のためだけにメモとして書いております。

ワクチンだの治療薬だのといったマスゴミ報道について

 ツィッターで誰かがつぶやいていたのですが、今まで、ずっとコロナウイルスのワクチンや治療薬ができて無いのに、そんなに簡単に出来ると思うのだろう。ってのがありましたが。まさに、そのとおりだと思います。私もそう思います。ワクチンって言葉は簡単に使われますが、非常に難しいと思います。古典的なワクチンは、ウイルスを培養して、殺して、そのまま注射で入れるもので、日本脳炎ワクチンなんかがこの類ですね。はしかのワクチンは生きたままのワクチンを入れます。これは、多くのウイルスの中から、人間の体温では感染性を有さない突然変異のウイルスを探し出す必要があります。日本脳炎やはしかは株が決まっております。変異はあっても、あまり変わらないようです。

 インフルエンザのワクチンは、ウイルスの表面にある抗原HAのみを集めております。このHAが人間の細胞にくっつくから、その抗体を作る事で感染防御するというものです。インフルの場合は毎年A型H1N1株、H3N2株、B型、B型の4つの種類のHAあたりが含まれております。この4つの株のサブタイプは(これらの中でも多くの変異株がありますので)、WHOが推奨し、日本の場合は感染症研究所が決定します。ほぼ毎年変わります。

 ここら辺までは、古典的なものですが、今は、結構ワクチン自体が進化しております。具体的に言うと進化の途中といった方が正しいのかもしれません。今までの古典的なワクチンと、新しい免疫学に基づいたワクチンの共存という状態なのかもしれません。

 VLP(Virus-like particle)なんてものがあります、HAのようなサブユニットでは小さすぎて、免疫原性が低いので、古典的なワクチンではアルミニウムなんかを使用しているのですが、ウイルス自体を作ってしまおう但し別のものでねという考えです。読んで字の通り、ウイルスに似た粒子っていう訳です。TVで見ましたが、大阪大学の森下先生が提案されているのはDNAワクチンですね。他にもタンパク質を合成したワクチンとか、ありますし、免疫を誘発するためにアジュバントなんてものも考えないといけません。

 それらの、抗原量や形態(生、不活化、サブユニット、VLC、DNA、合成)+アジュバントといったもので、動物実験をして決定し、臨床試験をして結果を見るという事になります。その間で、重篤な副反応が起きるとOUTという事になります。このスケジュールで、普通は早くて、3年から5年、1000個の候補から1個あるか無いかといった所ではないでしょうか? 特に、ワクチンの場合は、有効性を証明するための基準が無いと駄目ですので、つまり、抗体がどの程度出来れば、感染防御出来るのかという事も同時に証明されなければなりません。抗体測定方法の確立と有効性の証明、それは、そんなに簡単なものではありません。下手すると、何万人ものデーターが無いと難しいかもしれません。もし、サーズのように流行が終了してしまっていれば、有効性は全く測定出来ないので、次の流行まで待たないといけないかもしれません。

 治療薬の場合はもっと大変です。ワクチンの場合は基本的に何らかの推測は出来ます。抗原抗体反応なので。治療薬は先ず、その免疫システムを解明しないと難しいと思います。オプジーボなんかが有名ですが、癌が増殖してゆく過程を研究し、その中でPD-1という受容体とPD-L1というリガンドの役割を解明出来た事から癌の治療薬として成立した訳だと思います。それまでに、どれだけの人がどれだけの研究をして来たのだろうかと思います。それ故、今回、コロナウイルスの特性をそれ程簡単に解明出来るのだろうかという疑問があります。それがわかった上で、動物試験、臨床試験があるわけで、その臨床試験時に有効性を証明出来る基準値が必要になります。もっと言えば、感染者が存在していなければ、完全な有効性を証明出来る材料は無いだろうと思います。ですから、アビガンやレムデシビルとかのように他の目的で作られた薬を目的外使用でいった方が簡単であるということなのだろうと思います。そもそも、こういった一過性の感染症(であろうと思います)に治療薬をぶつける事は、結構大変なんだろうと思います。開発も、そして、コスト面においても、恐らく日本円で100億円くらは普通に必要なのではないかなと思います。勿論その線がミニマムで、幸運に幸運が重なったとしてでしょうが。1000億円かけて作って、感染症が無くなれば、企業は大損という事になりますので、国なりが補助したとしても、開発は、難しいのかもしれません。

 多くの場合、研究者はアドバルーンを上げる事が多いと思います。何故なら、論理的には説明することが出来るので、ただ、それを薬にするのは、とっても高いハードルがあります。それ故、あまり信用はしない方が良いのではといったところです。そもそも、半年で、臨床試験(人を使ったものです)に入るなんて、新薬の場合は狂気の沙汰だと思います。