hikarimetal’s blog

基本的に自分のためだけにメモとして書いております。

巨星落つ

 台湾の李登輝元総統がお亡くなりになられました。ご冥福をお祈りいたします。

私の中で、アジアの大政治家と言えば、中国の鄧小平氏(この方の役職敬称は難しいので)、韓国の金大中大統領と台湾の李登輝総統の3人だと思います。日本で言えば、吉田茂首相くらいしか相手にはならないのではないかと思います。

 私は、政治家の中で最も大切なものは、信念であり、実行力であると思います。どんなに立派な信念を持っていても、具現化できなければ、意味がありません。そういった意味で、この4人の政治家は、苦難の中でも信念を曲げず、しかし、大きな妥協もした上で、自国の未来を作ったという人達だと思っております。政治家は0か100かを選択してはいけないと思います。0か1なら1を取る、次に2を目指すそして最後には100に到達するといった姿勢でなければ、個人の利益は確保しても、国民の成功をつかみ取る事が出来ないと思っております。

 李登輝総統は、あの独裁政権蒋介石の国民党で実績を上げて最終的には、総統の地位を得て、そして、その総統の地位を直接選挙制に変えた事で、一挙に台湾は民主国家になりました。彼は、恐らく、蒋介石の元で、じっと、自分の信念を持ち続けていたんだろうと思います。しかし、蒋介石政権の元でなければ、その彼の信念を実現する事は出来ない。そう考えて、いきなり100ではなく、1、2、3と積み上げていったんだろうと思います。

 鄧小平氏も何度も失脚しました、周恩来を含め多くの理解者がかばわなければ、表舞台に出ていなかった人だろうと思います。それでも、彼は、信念を貫き通しましたし、毛沢東の元でも、一つ一つ実績を積み上げました。いつかくるかこないか分からない未来のために。そして、彼によって、中国は発展し、今では、世界の覇権をアメリカと争うようになっております。

 金大中大統領は、苦難の末に大統領になりました。東京で拉致されて、死刑判決まで下る経験もしたと記憶しております。しかし、彼が大統領になった時には、左翼政権とは思えないくらい現実的な政策もし、北朝鮮との大胆なディールも実現しました。IMF通貨危機の際に見事に、アメリカと日本からの援助を取り付け、そして、小規模な財閥を淘汰し、より近代的なスキームに作り替えました。

 ただ、この3人の中でも、政治家として最も評価されるべきは、李登輝総統であろうと思っております。彼は、殆ど血を流す事無く、革命を起こしたのですから。そして、その革命は、台湾を先進国と同等の経済力を有する国にすることに成功したのですから。こんな奇跡は無いでしょうね。

 本当に尊敬するべき政治家であり、目標となる政治家でしょうね。巨星落つ。この大政治家と同じ時代を生きる事が出来て良かったなと思います。