hikarimetal’s blog

基本的に自分のためだけにメモとして書いております。

We have wings

 2021年7月、日本は狂気の中にありました。コロナ陽性者数が拡大し、東京には緊急事態宣言が出され、1年延長した東京五輪は、多くの人達に開催を否定されていました。恐らく、多くの関係者は、一生懸命に準備をして来たと思います。多くの選手も、この日に向かって努力をして来たと思います。しかし、その選手達も、世論を慮って、開催して欲しいとは言えない雰囲気だったと思います。

 五輪に肯定的な発言をすれば、批判の嵐に巻き込まれます。そんな五輪ってかつてあったでしょうか? そして、ようやく開会式に漕ぎ着けそうになった時に、過去の事で、演出関係者が辞任を余儀なくされました。そして、行われた開会式は、あまりに凡庸で、日本だけではなく、世界から批判を浴びる事になったと思います。

 しかし、競技に入ってからは、無観客であるにも関わらず、もしかしたらそれを感じさせないくらいの、熱量に溢れた大会になったのではないかと思います。あれだけの大人数を受け入れながら、感染者の大きなクラスターを発生させることはありませんでした。日本のオペレーション能力の凄さを世界に見せつけたのではないでしょうか?

 そして、閉会式。開会式に輪をかけたような凡庸な閉会式で、日本人の熱気が一挙に冷めたのではないでしょうか?それは、日本人の能力不足なのか、想像力の無さなのかと。素晴らしい運営をし、多くの感動を生み出した五輪の終わり方として、本当に寂しいものでした。

 その後、五輪の熱気は、コロナの爆発的な感染拡大に完全に消し去られてしまったように思います。まだ、パラリンピックはあったのですが、悲しいくらいに多くの方は感心を示さなかったように思います。ただ、一部に、五輪と同じような反対運動はありましたが。それも、大きなウネリとはならず。無関心の中で始まったパラリンピック

 ぼんやりと見た、開会式。五輪のようにお金をかけているようには見えませんでした。手作り感というか、それこそ、五輪の時に批判的に使われた、学芸会のような部分は、更に強まったものでした。しかし、出て来る人達のハンデキャップを悲しみではなく、個性として見せる明るさが、鮮やかな色彩と、そしてそのストーリーが、心を打ちました。なんて素敵な開会式だったんだろうと。良かったなぁと、日本でも、というか、日本だからこんな素敵な開会式が出来たんだろうと。

 パラリンピックの意味が、多くの日本人に理解出来たのではないかと思います。彼らは、ハンデを持った悲しい、可愛そうな人達だと思っていました。しかし、この開会式で彼らは雄弁に語ったのです、ハンデキャップは、その人の個性なんだと。勿論物理的に同じではないけれど、それでも、誰だって、出来ないことも出来る事もあるし、それを認めて理解することが、彼らを理解することなんだという事が。

 一人の少女のストーリーとっても素晴らしいものでした。

 We Have Wings とっても素敵な言葉でした。