hikarimetal’s blog

基本的に自分のためだけにメモとして書いております。

アビガンについて。

 アビガンは、すでに製造販売承認された製品です。用途は、新型インフルエンザに対してです。これを、違う目的、つまりコロナウイルスに使用する事を目的外使用と言います。本来、目的外使用は医師の判断で実施する事が可能です。ただし、勝手に無制限という訳にはいきませんので、臨床研究目的で使用するというケースが多いと思います。臨床研究と治験は異なります。臨床研究は、医師等が論文等の作成のために行うもので、治験は薬品会社が薬品の製造販売承認を得る目的で行われます。臨床研究の場合は、当該研究を行う機関において倫理審査委員会を実施し、承認を得る事が一般的です。これは、事故等が発生した場合、担当医師の責任を緩和することが出来るものです。治験の場合はもっと手順が明確で、非臨床試験、安全性(Ⅰ相)、有効性(Ⅱ相)、安全性と有効性を多くのサンプルで実施(Ⅲ相)をクリアする事が必要で、その都度、厚労省に治験届を提出し、承認を得なければなければなりませんし、最終評価は厚労省で行わます。新薬の開発に5年とか10年とかかかると言われているのはこのためです。このスキームは世界共通で、日本だけという訳ではありません。レムデシビルは、ここをすっ飛ばして、承認を得たのですが、これは、あり得ない事ではあります。

 アビガンですが、基本的には、製造販売承認を得た薬品です。つまり、普通であれば、医師の判断で、目的外使用が可能となるはずなのです。それを何故か厚労省がコントロールしようとしております。また、承認された薬なので、製造販売承認は不要です、適応拡大を承認すれば良いだけで、これには治験は必要ではありません。レムデシビルは未承認薬ですので、治験は必要です。しかし、既承認薬は必須ではありません、しかし、逆の措置をしているわけです。海外の治験(それも、完全なものではありません)で、日本の治験Dataも無い中で、迅速審査(特例審査、審査していないんじゃないでしょうか)で承認、本来、適応拡大のアビガンは、治験が必要という全く、辻褄の合わない事を、厚労省がやっている訳です。不思議ですね。

 日本の厚労省は本当に保守的です。アメリカのFDAもかなり慎重です。ヨーロッパはかなり革新的で、直ぐに新薬を承認する傾向にあると思います。それは、大手の薬品会社の多くはヨーロッパ企業だからでないかとは思っております。つまり、ロビー活動が強いのだろうと。